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2008/06/25

神様からのプレゼント

なんというか、音楽がらみで周りが勝手に動き出し、俺もそれに飲み込まれてしまっています。

***

まずは、随分時間が経ちましたが、俺の地元の師匠のようなオッサンCD製作、まもなくリリースできそうなところまでこぎつけました。
なんだかんだと俺もオッサンもナマケモノなんで、1年くらいかかってしまいました。
音源そのものは1年前にマスタリングまでできていたのに。

***

で、突然ですが、ライブやることになりました。

8月の末ごろですが、いつものバーの店長Qと2人でブルーズやります。
店長がブルーズハープ(ハーモニカ)で俺はギター(アコギ)弾きます。

とにかくあと2ヶ月しかないわけです、その間に曲決めて構成決めてアレンジして、もちろん練習して、とやることたくさんです。

ちゃんとチケットを販売する形のライブなんて10年以上やってないっす。
人前では、年に1、2度くらいはやる機会はあるんですけど。

ただ、やっぱりいいっすね、ライブが決まった高揚感ってのは。

***

さらにさらに、ここで書いていた「頼まれごとのモノ作り」ってのですが、曲なんです。
先週、昔の知り合いのバンドマンから連絡が来て、懐かしくなんだかんだと話していたら、ちょっと1曲書いてよ、ってことになりまして。
うーん、呑んでたら安請け合いしてしまっていかんですな。

これを先週末にウンウン唸りながら作っていました。
で、ふと昔のことを思い出したわけです。

ちなみにこのコンテンツは、10年以上前にとあるWebサイトで掲載していたものです。
ああ、ネタの使いまわしっすよ。
悪いですかぁ?

昔、せっせと音楽をやっていた頃、曲も書いていたわけです。
でも俺の場合はスッポリと安産ではなく、いつも難産なわけです。
要は才能が無いわけですが。
当時から曲を自在に作ってしまう人ってのを特にうらやましく思っていました。

Stonesのミック&キース、Beatlesのジョン&ポール、それにイカシたブルーズを作りつづけたウィリーディクソンなんかの才能には嫉妬さえも覚えてしまいます。

***

俺が初めて曲を作ったのは確か高校生2年の時だったと思います。

確か、人生初のバンドを辞めて(クビになって)、新しく作ったバンド用の曲だったと思います。
そのバンドではベースをやることになりました。
メンバーと出会い意気投合し、最初にバンドの構想についてアツく語りました。
なぜか必ず最初はアツく語るのである。

とにかく最初のうちはコピーで、とかでなく、いきなり曲を作ろう、全曲オリジナルで1、2曲だけセンスの良いカバー、それもパンクではなく少し古いR& Rなんかをアレンジしなおして、という話になったわけです。

ご存知のように俺はコンセプトに酔いやすいため(変わってない)、そのイキナリオリジナルという方法論にシビレ上がってしまったわけです。
で、バンドはできた、2ヶ月後にはライブも入った(むちゃくちゃ)、持ち時間は30分、バンドのコンセプトはフルオリジナル、すべて順調です。
でも曲はないわけです。

さあ、急いで曲を書かないと間に合わない。
しかしメンバーのうちドラマーは楽器が何もできず、曲を作る手段さえありません。
持ってるのは中学で使ったアルトリコーダーのみ、吹けるのはチャルメラだけなわけです。

他のメンバーは俺と同様で曲なんか書いたこともないですが、とりあえずヴォーカル、ギター、そしてベースの俺の3人で曲作りをすることになりました。

30分のライブということは大体15曲(これがパンクの常識である)、そのうちに小粋なカバーを2曲やるとして、13曲、もっともアンコールで2曲必要なので(馬鹿)やっぱり15曲。
大体3週間くらい前には曲が揃うとして、残り3週間、週に5曲ということは毎週2回のスタジオなので一回のスタジオで2、3曲。
ということは、スタジオのたびに3人が1曲ずつ作ってくれば週に6曲、十分間に合うではないか。

よし、それではスタジオの前々日までに作った曲をテープに入れてメンバーに配ることにしようや、と計画だけは完璧でした。

***

俺とギタリストは、他のメンバーにコンセプトを熱く語って納得させた手前、がんばって作ろうと思っていましたが、ヴォーカリストはイマイチやる気が出てないみたいでした。

ヴォーカリスト、ギターは弾けるますが自宅にはフォークギターしかなく、しかもFが押さえられないので(典型)、いわゆるオープンコードのストロークで曲を作ってくるわけです。
作ってきた曲のテープを聞くと、なんと言うか実に牧歌的でイタダケないわけです。

「なんかフォークジャンボリィみたいな曲やね」

というギタリストの心ない一言ですっかりテンションが低くなってしまいました。

ギタリストはギターソロは弾けないとはいえ(パンクのギタリストは弦を1本ずつ弾いてはいけません)、さすがにギタリストです。
結構かっこいいリフとかを駆使しています。

ただ難点がありました。
リフはいい、テープにとってくる曲はカッティング、リズムともになかなかのもんです。
でも、でも、その曲にはメロディがないのです。

本人は一応そのコードを録ったカラオケを前に何か言っている(決して歌っているとは言えません)が、それをヴォーカリストが再度歌うのは極めて困難でした。

だとすれば残るは自称天才の俺しかいないわけです。
まかせておけ、俺様の曲でこのバンドの色を作ってやるぜ。

家には父親の仕事の関係で色々と楽器はありました。
サックスとかクラリネットとかトランペットとか、なぜかホルンとかマラカスまで。

が、パンクです、ロケンローです。
そんなラッパ類やラテン類に頼ってはいけません。
でもギターはない。
結局、俺の曲作りの道具はベースでした。

ベースを構え、ピックを握って、ある音をボボボボボボボと連打します。
次に別の音をボボボボボと連打、それを繰り返してコード進行が決まり、それにメロディをつけ、適当な詞を載せて一丁上がりです。

我ながら恐ろしい才能です。
最初のスタジオ用に、なんと3曲を作りました。
さらに小粋なカバーとして、既存の曲をアレンジし、反核の詞を載せた曲も用意しました。
反核ってところがパンクで、それゆえに今モーレツにはずかちい。

ただ、録音が大変でした。
ボボボボボボと弾くのはいいんですが、今何コーラス目である、とか全然わからないのです。
とにかく録り直しが多かったです。

やっとバック(ベースの音だけですが)を録り終わったら今度はウタです。
ラジカセで曲を流しながら別のラジカセに向かって歌うのです。
こんなチープな装置でもやはり緊張します。

やっと調子が出てきたころに、ドアがバーンと開き、バァちゃんが入ってきて

「アンタ、このジーパン、膝のところに穴が開いてて安全ピンが沢山ついとったけん、繕ってやっといたけんね。」

などとノタマうわけです。

やっとの思いで録音を終えましたが、スタジオの前々日にテープを渡すことができず、現場のスタジオで皆に聞かせることにしました。

***

スタジオに入り、テープを再生します。
全員俺様の恐るべき才能を固唾を飲んで見守っているに違いない。

曲が流れ出した瞬間、というよりはベースがボボボボボと連打され始めた瞬間全員が爆笑しました。

「なんやこれ、ベースの音でコード進行がわからんやんか」
「バカタレ、ここにコードを書いた紙があろうが。それと見比べながらギター弾いてみろ!」
「なるほどね」

次にテープの中の俺が歌いだした途端またもや爆笑です。

「だって威勢の良いベースの音のバックで、消え入りそうな、か細い声で歌うんやもん。しかもギターソロまで歌うことないやん。」

かなり深く傷ついた自称天才ですが、最後の小粋なカバーには密かに自信がありました。

「この曲はクサ、反核のメッセージを乗せてクサ、ハードにちょっとセツナく仕上たっタイ」
「おう、イキナリ4曲とはさすがやね。誰の曲や??」
「クラシックの曲やけど、ドヴォルザークって知っとうや??」
「いや知らん。まあいいタイ、聞かせちゃってん」

早速再生です。

「ワハハハハ、この曲何って言うとや、ワハハハハ」
「何がおかしいとか、ドヴォルザークの新世界の中の家路って曲タイ」
「ワハハハハ、これはお前、下校の音楽やんか、ワハハハハ、カッコいいやん、ワハハハハ」

ウチの実家は小学校の近くにありました。
どうりでこの曲が頭に残っていたはずです・・・・

***

一番曲を作ってたのはハタチくらいのころです。

詞の方は部屋で呑んでいるときにフと思い浮かんだフレーズを書きとめておいたりしたので、比較的簡単に作れたものでした。
で、曲にあわせて、これらの断片的なフレーズに言葉をつなげていきます。

ところが、曲の方はなかなかスンナリとはいかないもんです。
コードを循環させながらメロディが浮かんでくるのはマレなのです。

そういうわけで、俺はとてもクールな手段を用いていました。
留守番電話を利用するのです。

外出先で突然ゴキゲンなメロディが思い浮かんだりします。
それをずっと家まで覚えていて、コードをつけて詞をつけるのは大変というか、不可能です。
そこで、思いついたらすぐに自宅に電話するわけです。
一人暮らしなので当然誰も出ず、留守番電話が応答するわけです。
そこに向かって思いついたメロディを歌うのです。

メロディを鼻歌のようにして歌うときもあれば、サビだけを詞もコミで思いついて歌うこともあります。
またある時はアレンジくらいまでできて、それを歌うこともありました。
この方法は実に具合がよく、家に帰ってからそれを基に曲に仕上なおしたりするのは非常に楽でした。

こんな感じで曲は溜まっていきました。

***

ある日、とあるチャンネエと呑んでいました。

まずメシを食い、さらに静かなバーに行きジンなんぞを飲むわけです。
チャンネエも沢山呑んだようで、口数も多くなってきました。
まんまと俺様の策略にはまってきたみたです(昔から卑怯)。

しかし、話の内容が友人の愚痴になってきたりして、少し退屈になってきました。
そこで聞いたフリをしながら他のことを考えていました。
昔から変わらないっすねえ。

すると、突然神様からのプレゼントです。
とてもゴキゲンな曲が頭に浮かんで来ました。
なんと今回は神様の大サービス、イントロのギターのリフとドラムのカラミまで付いています。
これは捨てておけん、絶対忘れちゃいかん、そうだ、電話だ。

「あ、ごめん、ちょっと電話して来るけん」
「え、どこにかけると??」
「いや別に、家の留守電チェックするっタイ」
「ホントね??怪しかぁ」
「怪しくないって。ホラ、今日バイト休んだけん、バイト先から電話入っとうかもしれんやん」

こうして電話のところに行き、静かな店なので声を押さえ気味に思いついた曲を歌いました。

その店の後、さらにもう一軒行き、屋台でも大量に飲み、そのころにはさっきの曲のことなどすっかり忘れ、ましてや留守電に入れたことなどもすっかり忘れ、結構ベロベロで俺のアパートにチャンネエと一緒に戻りました。

ああ、部屋の掃除しといて良かった、などと考えながらアパートに入り、チャンネエの酔いが覚めないように濃い目のジントニックなぞを用意している(卑劣)と、チャンネエが一言。

「あ、留守電が入っとうやん。チカチカ点いとうよ。」
「ああ、そうやね。」
「何で聞かんと??」
「いや、別に聞いてもいいよ。聞かせちゃろうか??」

この辺で曲のことを思い出しました。
いかん、そういえば、さっきの店で思いついた曲を録音したんやった。
アチャー、参った。
カッコ悪い。
このチャンネエに、作曲とかはギター持っとけば勝手に湧いてくる、って豪語したし・・・

「それじゃあ聞かせてよ。」
「あ、ま、待て、まあ、別にたいした用事は入っとらんやろうけん、明日聞く、そう、明日明日。」
「あれ、何かおかしいねぇ。急に焦ってない?? 何かさっきから怪しいと思ったっちゃん。バーでも口押さえてコソコソ喋ったりしてクサ」
「いや、違うって、怪しくないって」
「それじゃあ聞かせてくれてもヨカろうもん」

引くに引けない状況です。
せっかく自宅アパートまで漕ぎ着けたというのに、ここでみすみす逃げられていいのか!!
しかし、留守番電話には・・・・いや、誤解を解く方が先です。

「じゃあ、判った。聞かせちゃあタイ」

そして、覚悟を決めて留守電の再生ボタンを押しました。
そこからは神様からのプレゼントが。

ちょうど高校2年生のころのベースをバックに歌った時のように、消え入りそうな、か細い声で

「ギャッギャーンギャン、ドッガンドドガン、ギャッギャーンギャン、ドッガンドドガン、テレレレテテッテ、フンフンフン・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・

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コメント

終わり方
堪らんクサ(^O^)

投稿: B-ひで | 2008/06/26 01:37

ひでさん

コメントどもです。
いつもありがとうございます。

なんつーか、改めて思い返してみると、人間ってのは変わらないもんっすねえ。

投稿: Open6E | 2008/06/27 07:10

いい意味で変わらないってのならスゴく素敵な事ぢゃない('-^*)/
オイラはいつまでも熱い漢を目指してくよ(^O^)/

投稿: B-ひで | 2008/06/27 21:20

Open6Eさん>
たいへん楽しく読ませていただきました。

同じく留守電鼻歌やりました。(笑)
留守電再生して改めて聞いてる時のムズガユイ感覚。
メンバーに作った曲を聴かせる時の気恥ずかしさ。
読んでいて自分のコトも色々と思い出しました。(^_^;)

特に刺さった箇所は、

>「なんかフォークジャンボリィみたいな曲やね」

。・゜・(ノ∀`)・゜・。

ひでちん>
大丈夫。変わった姿が想像できないから。(^O^)

投稿: まこ@釣庵 | 2008/06/28 00:37

> ひでさん

ありがとうございます。
そうっすね、変わらないってのも結構気合いが必要なことですもんね。
俺の周りの人、ネットの人も含めて、ガキのテンションを維持してる人、結構多いっす。

で、ひでさんも、まさに、そのクチっす(笑)
まこさんもそう書いてるし(笑)

> まこさん

やっぱりやりましたか、留守電。
ICレコーダとか携帯とか無い時代ですからね。
時代感も含めて、共感してもらえてうれしいです。

「フォークジャンボリィ」、心無い一言を言われたクチですか?

投稿: Open6E | 2008/06/29 13:01

Open6E節、大全開でこんなエントリが読みたかったですよ。
大笑いしながらも、どこか鼻の奥がツンとなるような思い……って、楽器弾けないけど。でもこれ読むと釣りばっかしないでやっておけば良かったなぁ、なんて思ってしまうわけです。
ライブも頑張ってください。

投稿: masuturi | 2008/07/07 01:57

masuturiさん

どうも、スチャラカなエントリ、失礼いたしました。
鼻の奥がツンとなるのは、音楽でなくても「当時の自分が真剣なだけに今考えると恥ずかしい」という経験をされているからだと思います。

ライブもがんばりますが、釣りもバリバリ行く予定ですよ。
まずは渓流とサーフです。

投稿: Open6E | 2008/07/07 15:29

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