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2010/06/23

Boys, Be Sid Vicious

15歳くらいのころ、パンクは突然やってきました。

深夜のビデオ番組で「No Future」と絶叫しつつ完全に醒めた目をしたジョニーロットンを見てから、それまでの「漠然とした洋楽好き」から俺の中での音楽に対する価値観がガラリと変わりました。
その「価値観」は今でもずっと続いていて、ストーンズだったりブルーズだったりと変わりません。

パンクは、言いたいことと聞かせる音楽が完全に一致している数少ない音楽なのです。
ブルーズもおんなじです。
もちろん、ブルーズが根っこにあり、パンクのルーツとなったストーンズとかドクターフィールグッドも同様です。
シンプルで派手でバカでちょっとセツナくて、という基本要素が重要なのです、俺にとっては。

随分昔、NHKかなんかの番組で、「パンクとメタルはどう違う?」みたいなのがありました。
その中で、街中のメタルとかパンクにインタビューをするんですが、メタル野郎に聞くと「メタルってのはクラシックの様式美を音楽的なベースにテクニックに裏付けされた・・・・」みたいに長々と解説をしていました。
ところが、パンクス、こいつがまたアブナそうなヤツだったんですが、このパンクスにインタビューをすると、パンクスはしばらく考えた後、「パンクは・・・・クる」と一言で片付けていました。
それを見ていた俺は、そうそうそれそれ、と激しく同意した覚えがあります。

「ヤツはウタもギターも大したことなかったけど、ヤツのブルーズは最高だった」と言われたいんです。
もちろんハウンドドッグテイラーのパクリです。

***

と、まあ、熱く語るのはこれくらいにして、あとはバカ話をしましょう。

今の世の中のパンクに対する受け入れられ方から考えると、とても考えられないような状況なんです、当時は。
細かい話はこのエントリで殴り書きしていますので割礼(定番)します。

が、少なくとも健康優良な悪ガキにとっては、パンクを聞いてパンクを演ってパンクのギグに行くってのは結構な覚悟が必要だったのです。
そして、パンクな格好をするってのも、周囲に対する重要な意思表示なのです。

でもパンクファッションって、その手の店で買うと高いんですよ。
ガーゼシャツが数千円、Tシャツだって3000円くらい、ボンデージパンツとかボンデージジャケットなんて2万円近くしたような記憶が。
それにドクターマーチンのブーツだって3万円くらいしたと思うし。
ケツにつけるチェックのヨダレカケみたいなのでも3000円くらいしたよなあ。
皮のライダーズジャケットなんて持ってるヤツいませんでしたよ。

別にビンボーではなかったですが、それらパンクファッションのアイテムはガキが買うにはあまりにも高価でした。
そこでどうするか、自作です、DIYです。

***

Tシャツは、安い無地のTシャツを買ってきて、1枚1000円くらいで好きなものをプリントしてくれる店に持ち込みます。
LPのジャケットとかソレ風の絵とかを使います。
あるいはスプレーとかで絵とか文字書いたりです。
これをハサミでジョキジョキ切込みを入れて一丁上がりです。

ジーンズはできるだけ細いブラックスリムもしくは破れたブルージーンズです。
ブルージーンズの場合、適当にハサミで切れ目を入れ、なるべく雑に漂白剤をふりかけ、洗濯機で一回洗うとパンクズボンが出来上がりです。

ブーツは作業服屋で安全靴を買ってきます。
5000円もしないはずです。
カッターで靴の先を切り、ヤスリをかけて安全靴の鉄をむき出しにし、錆止めのラッカーを塗ります。
さらに靴ヒモを赤とか青とかに変えて、完成です。

あと、通学用の白のカッターシャツなんかもイイ感じになります。
マヨネーズの容器(みたいなヤツ)に赤とかのペンキ(というか塗料)を入れて、1mくらい離れて肩口あたりにブビブビっとやると返り血を浴びた風なジョーストラマー風シャツになります。
これに適当に用意した腕章とかを付けます。

ガーゼシャツは難しい。
友人はガーゼを買ってきて、自宅のミシンでガーゼシャツを縫おうとしましたが、ガーゼからほつれた糸がミシンに巻き込みミシンが壊れるという大惨事になったりしました。

皮ジャンは難しかったっすねえ。
安い、と言っても数千円はするライダーズと同じ形のビニジャンに鋲を打ってペイントしてるヤツが結構いました。

あとは全体的に安全ピンをつけて完成です。
注意したいのは、安全ピンはすべて銀色のものにしましょう。
頭の部分がパステルカラーのプラスチックみたいなヤツだと、まるで布団にかぶせたシーツがズレないようにしてあるみたいなので。

中には金持ちのガキで上から下まで店で買ってきたものを着ているヤツもいましたが、大抵のガキは俺だけでなく、皆マジでこんなことやってたんですよ。
これって一歩間違うと、このリンク

はじめてのセックスピストルズ - STEP 6 「衣装をそろえよう」

のように笑えるものになっていたのかもしれないと思うと苦笑いと共に寒気がします。

***

で、髪型。
今でこそ、パンクだからといって必ずしも髪を立てるわけではありませんが、当時は髪を立ててナンボでした。
これには随分工夫を凝らしたものです。

髪を立てるには、そこそこ短い方がいいです。
俺の場合は髪の毛にコシが無いくせに自重があるという博多のうどんみたいな毛質なもんですから、ちょっと伸びるとすぐに立たなくなります。
そこで、散髪屋に行って注文するときは「スポーツ刈の長めで」と言っていました。
でもこれだけだと普段はペタンとしたただのスポーツ刈になってしまうので、整髪料が必須でした。

まず最初はスーパーハードのジェルで試みます。
髪の毛にジェルをまんべんなく塗って頭をさかさまにして手グシでツンツンとやりつつ、ドライヤーで乾かすのです。
これはまあまあキマっていましたが、ちょっと髪が伸びるとジェルの自重でヘナヘナになってしまうのです。

しかもジェルを結構沢山使うもんですから、あっという間になくなってしまい、結構財布に優しくないのです。
そこでハードコアパンクスに教えてもらったのが、洗濯糊を使うという荒業です。
この洗濯糊、以下の写真のような糊丸出しのヤツです。

Papamama_4903367001801kc0161

多分750mlくらい入って150円くらいだったと思います。
安いしジェルより固まるしで文句は無いのですが、まずなんとなく米臭い。
そして使用後12時間くらい経つと髪の毛の表面が猛烈なフケみたいに粉を吹いてくるのです。
あと、人前でこれをオモムロに取り出して使うのは相当恥ずかしいってのも問題でした。

いずれにしても、俺の髪質の問題点は自重があってコシが無いということなのです。
これを解決する方法がスプレーを使うというものです。
まずは「ケープ」とかを使うのですが、スーパーハードを使っても固さはイマイチで、さらに量が少ない上にそこそこの値段がするというコストパフォーマンスの悪いものでした。

そうやって色々なスプレーを試行錯誤するうちにウワサを聞きつけて使うようになったのが、通称「ダイエースプレー」と言われるスプレーです。
正式名称はエレーヌヘアスプレーというものでしたがダイエーでしか売っていませんでした。
この緑色の缶、スーパーハードが当時のパンクスのデファクトスタンダードでした。

これ、大きい缶に入っているのに400円くらいという安価で、以下のリンクにあるように「プラモデルも作れる」くらいにカチカチになるのです。

髪カッチカチ! 「ダイエースプレー」最強伝説(Excite Bit コネタ) - エキサイトニュース

今でも売っているようで、バンドマンなどからは相変わらず絶大な支持を得ているようです。
当時のライブハウスの匂いの記憶って、このダイエースプレーの独特の匂いの記憶なんですよ。

***

こないだ結構混んでいる電車に乗っているときに突然懐かしい匂いがして、何だったっけ、と思っていると目の前のワカモノの髪の毛がツンツンと立っていました。
それで急にダイエースプレーの匂いがフラッシュバックしたのです。

で、こんな駄文をダラダラ書いてみました。

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コメント

だからさぁ
あちきみたいに
モヒカンにしちゃいなさいってsmilesmilesmile

投稿: B-ひで | 2010/06/24 00:48

ひでちんの場合、
パンクスっつうより、ロッキーに出てくる悪者ボクサー?(^w^)

投稿: まこ@釣庵 | 2010/06/24 14:02

な・なぁにぃをぉangry

投稿: B-ひで | 2010/06/24 19:33

> ひでさん
> まこさん

モヒっすか。
ウチの会社、そこそこ固いんですがいるんですよねえ、モヒのヤツ。

でもですねえ、パンクスのモヒはニワトリみたいな立てたモヒなんすよ。
で、ひでさんはミスターTっすよね、まこさん。

ミスターT風のモヒはブルーハーツのカジ君くらいですよね(ブルーハーツがパンクかどうかはここでは議論しません)。

ちなみにまこさんのダムド時代はどんな髪型だったんすか?

投稿: Open6E | 2010/06/30 02:26

ダムド時代(いつだ?)の髪型ですか?
健康優良な私は覚悟が足りない「隠れ」だったので、カッチリとアイパーあててオキシドールで脱色してましたsmile

投稿: まこ@釣庵 | 2010/07/08 13:32

そういえば少し前に何気なく見てたテレビで、大塚愛のバックでタイコ叩いている梶くんを見つけて懐かしかったです(笑)

ちなみにブルーハーツはビート系フォークかと?
私?大好きですよsmile

投稿: まこ@釣庵 | 2010/07/08 13:37

まこさん

コメントありがとうございました。

イイっすね。
アイパーとかオキシドールとか、あの時代を感じる懐かしい響きです。

ちなみに俺もブルーハーツは好きですよ。
フォークの匂いもする歌詞ですが、俺にとっては夜の校舎窓ガラス壊してまわる人とは比べ物にならないくらいのリアリティがありましたもん。

ハワイ、良い旅を。
レポート楽しみにしています。

投稿: Open6E | 2010/07/09 09:47

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