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2010/07/09

ロバートジョンソンに関するアレコレ その2

最近、操作系がほとんど壊れた携帯オーディオプレイヤーを入手しました。
Sonyの1GBメモリのローター(わからない子は先生に聞いてみよう!)みたいなヤツです。
何せボタンがほとんど効かないので、再生と停止は本体を振ってうまく接触させるというものすごい使い方をしています。
ボリューム調整なんてちょっとした匠の技が必要です。

で、相変わらずロバートジョンソンを聞いているんですが、ツラツラと思い出したことがあるので書いてみます。
以前書いたものと重複しますが。

***

この人については色んな人が色んなところで語っているので、あえて凄さをここで言うのもナンなんですが・・・・

十字路で魂と引き換えにブルーズを手に入れ、町から町、女から女と渡り歩き、その女癖の悪さゆえに毒殺される。
まさに、ブルーズメンのイメージそのものの人です。
それだけに色々と人々のコダワリを誘うようです。

俺はこのロバートジョンソンに対する世間のコダワリがどうも好きになれません。
もちろん、伝説をかっこいいと思いますし、あこがれはします。
絶対魂を売ったに違いないと思ってますし。

でも俺がロバートジョンソンを好きなのはラモーンズやドクターフィールグッドを好きなのと同じレベルと解ってます。
曲がよくて、演奏が良くて歌が良いから好きだ、とシンプルに考えたいです。

***

ハタチくらいでこの人を初めて聞きました。
そのころはまだコンプリートが出てなくて、アナログの「King of the delta blues singers」のVol1とVol2を聞きました。
世間一般にはロバートジョンソンを聞くお作法のようなものがあって、

  • 初めっからスゴイと思わなかった
  • どちらかというと期待外れだった
  • しばらく経ってから、レコードを整理するときに何気なく聞いてみたら凄かった(このレコード整理というのがポイント。大事な作法です。)
  • それ以来ロバートジョンソンには取り憑かれっぱなしだ
  • やっぱりブルーズはカントリーブルーズやデルタが一番だ

という流れにならないと非国民らしいです。

俺の場合はやや作法どおりでした。
まず初めて聞いた時に、録音のせいか、ギターに聞こえず、ピアノに聞こえました。
そして音が悪いのに閉口しました。

が、ここで書いたように、泥酔してヘッドフォンを付けてボリュームを上げて聞くと、とても繊細でワイルドでカッコ良かったです。
ストーンズやクラプトンなどがカバーしていて、知っている曲が多かったのもすぐ気に入った理由の1つだと思います。

ただ、それからはお作法通りにカントリーブルーズやデルタブルーズにどっぷり行くことにはならず、ビートの効いたシカゴブルーズに惹かれ続けました。

***

大体俺はコンプリート物が嫌いです。
一時期のロバートジョンソン~カントリー/デルタ/クラシックブルーズ偏重の流れはこのコンプリート物がガンガン出されたのが一つの原因ではないかと思うんです。

このロバートジョンソンのコンプリート、実はロクに聞いたことありません。

大体そういうと、ブルーズにうるさいアタマデッカチのチンコチョッピリは

「ロバートジョンソンを聞かずにシカゴブルーズエルモアジェイムズローリングストーンズをウンヌン・・・・」

と鬼の首を取ったかのように批判を始めます。

とってもイヤなヤツだった俺はよく、

「だって、King of the Delta Blues Singers Vol.1 と Vol.2をアナログで持ってるから」

と事も無げに言っていました。
石アタマ野郎もウザいけど、俺もウザい。

だいたいそう言うと石アタマは

「でもアウトテイクが・・・・・ブツブツ・・・・」

と口篭もるので痛快でした。
やっぱりイヤなヤツ、俺。

と言いつつ、実は何度か聞いたことあります。

学生のころ、実家に帰るたびに近所の後輩の家に酒をタカリにいっていました。
今考えても情けないっす。
あまりにもタカリに行くので、しまいにはロコツに嫌な顔をされていました。

酒が進むと、

「こらキサン、ブルーズば聞かせんや!!
エルモアで俺様の魂を焦がしちゃれ!!
このSuch a Kool House Music Vol.6っちゃ何か??」

「いや、Open6Eさん、ハウスってのはですね、現代のブルーズて言われとるヒップホップをテクノロジィで・・・・」

「ヤカマシか!!こんなのば聞く暇があったらマディを1000回聞け!!
早くエルモアをかけんか!!
うううう、酔ってきたぁ。
俺はエルモアの息子だぁぁぁぁ」

と無理難題を吹っかけていたのですが、

「ロバートジョンソンでヨカですか??」

と懐柔されてしまい、

「よしよし、哀れなボブでよろしい。
ただしまず最初にランブリン・オン・マイ・マインド、その次がレッドホットでさらにテラプレイン、ググっとカインドハーティッドそしてカモンインマイキッチンあたりの順番で行こうか。」

「え、っと3曲目何でしたっけ??
あとカインドハーティッドはどっちのバージョンですか??」

「何かそれは??
カインドハーティッドはロバートジョンソンのバージョンたい!!」

後輩、面倒臭くなって一曲目からそのままかけます。
まったく気付かず俺しばし御満悦です。

「こら、キサン、何で同じ曲が2曲続くとか!!」

「だけん、アウトテイクです。」

「そんなんは知らん!!
ラーメン食いに行くぞ!!
車出しやい!
おごっちゃあけん、金貸せ。
うううう、酔った、キモチ悪い。
俺はエルモアの息子だ ぁぁぁぁ」

・・・・・
だからコンプリート物はキライです。

ちなみにコンプリート物、コンプリート盤とは、そのアーティストの全録音をすべて含んだCDで、同じ曲でも微妙に違ったりするテイクがすべて入っているものです。
ロバートジョンソンも録音されている曲は29曲ですけど、アウトテイク(実際にリリースされたレコードに採用されなかったテイク)を含むともっと沢山のテイク(42テイク)になります。
コンプリート盤では、同じ曲がアウトテイクも含めて数度続く、という構成になってます。

退屈なんすよ、コンプリート。

***

クロスロード伝説を一つ。

やはり実家の近所の後輩にヒライ(仮名)という男がいました。
こいつは高校の頃ハードコアパンクのバンドでタイコを叩いてた奴で、よく対バンをやってた関係で知り合いでした。
ハタチを過ぎたくらいになると、こいつもいつのまにかブルーズを聞いて下手糞なハープを吹くようになっていました。
下手すぎてバンドは組んでいませんでしたが。

そして、ハマルと突き進むタイプのようで、ガンガンとブルーズを聞き倒し、イッチョマエの能書きを垂れるようになり、知識合戦になると上からモノを言うようになっていました。
ハードコアだったくせに!
バイトしてやっと古着で買った皮ジャンにファック・オフと書いてたが、スペルミスで「Fack Off」って書いてたくせに!

ある日こいつの家に酒をタカリに行って飲んでました。
またタカリです。
しかも毎回後輩です。

カオスUKあたりのハードコアパンクからロンドンパンクになり、どんどん溯ってマディウォーターズまで聞き倒し、さらにロバートジョンソンまで来た時に、すでにベロンベロンになったヒライは

「Open6Eさん、俺は魂売りますよ。
十字路でブルーズを手に入れてきますよ。」

「具体的には何か?? 」

「XX四つ角のローソンでビスケットを万引きしてきます」

「かー、シブイね、男やね。
待っとくけん、行ってこい。
エロ本はどこに隠しとうとや?」

「行ってきます。」

ヒライは魂を売りに行き、30分ほどして戻ってきました。

「Open6Eさん、行ってきました。
楽勝です。」

「おい、こら、これはチョイスやんか!!
チョイスはビスケットやなくてクッキーたい。
もう一回行ってムーンライトと替えてこい!!」

「ムーンライトだってクッキーやないですか!!」

「やかましか、キサン!!
チョイスは歯に詰まるっタイ!!」

そうしてヒライは敬愛するサニーボーイウィリアムソンにあやかり、それ以来キングビスケットヒライと呼ばれるようになりました。
もう20年近く会っていませんが、はたしてブルーズは手に入れたのでしょうか??

***

そして社会人になり、数年が経ち、平日からやたらと飲みに行く毎日になりました。
当時、遊びで音楽を一緒にやっているような同期なんかと近所のバーを手当たり次第にチェックをしていました。

ある日行ったのが以前から気になっていた店。
スポーツバーと名乗る店なのでマッチョな店だ、とか色々想像があったのですが、とりあえず行ってみました。
結構広いちょっとシャレた感じのバーでした。

はじめてその店に行ったとき、その店の従業員で非常にキュートな女性がいました。
俺らは勝手にその女性をエンジェルと名づけました。
それ以降、エンジェル見たさに(見るだけなのが実に情けない)よくそこに行くようになり、ジットリと湿っぽい視線を送っていました。

ある夏の日、深夜2時に店に着いたのですが結構客は多かったです。
カウンターは2、3席しか空いておらず、テーブル席もほとんど埋まっていたので、俺と友人の計3人は最もカウンターに近いテーブルに座りました。

スタッフはいつものように...いつもと違います。
マスターと、エンジェルと、さらにもう一人女の子がいました。
オイオイ、マスター、悪知恵だけは働くようやね。

注文はマスターが取りに来ました。
エンジェルは俺達に見向きもしません。
そうか、照れているのか。
でもそんなところが俺のハートをノックします。

そして2時15分くらいになるとエンジェルはスタッフルームに消えました。
そして私服に着替え、出てきました。
黒のロングスリーブのサマーセーターにいつものジーンズ。
そんな飾らないところが俺のハートをノックします。

「オウ、シュガースウィートハニー。
そんなさりげないファッションでも俺には背中の羽が見えるのさ。」

と、妄想癖のある俺はブツブツと独り言を言います。
エンジェルは一旦カウンターに入り、しばらくして出てきました。

「今日はもう終わりかい??
それなら俺に朝までの残りの時間を預けてみないかい??
きっと(俺は)満足するぜ!!!」

と、やはりブツブツと言う俺。

エンジェルがこっちに歩いてきます。
まさにスーパーモデル養成学校主席卒業の名にふさわしい、華麗な、それでいて清楚で控えめな足取りです。
そんな身のこなしが俺のハートをノックします。

「ハニーベイブ、まず一杯ってわけかい。
OK、ハリー(マスターの名はすでに俺の中ではハリーである)、彼女にニューヨークを。
もちろんベースはワイルド・ターキィ・ライだ。
ジーンズを鮮やかに着こなす君には、ウィスキーベースのショートカクテルがお似合いさ。」

と、当然妄想が進みます。

次の瞬間エンジェルはカウンターの1席に座り、隣の男としゃべり出しました。
あれれぇ、何か違うぞ。

幸福というものは目に見えるものである。
はっきりと目の前に現れ、ゆっくり手のひらに落ちてくる。

不幸というものは目に見えないものである。
心の中にそっと棲み付き、ある日突然現れる。
(Open6E 愛のポエム第6章12節)

その後エンジェルは隣の男と、その男の物と思われるジープに乗ってどこかへ去っていきました。
俺はガラスに張り付き(妄想)、それを見送ります。

俺はギターを手にし、近くにあったボトルを叩き割り、ボトルネックを指に付け、スローなブルーズを歌い出します(当然妄想)。

駅まで彼女を見送りに行くのさ。
彼女のスーツケースを持ってね。
行くな、なんて言えないさ。
俺の愛はむなしいもの。
(ロバートジョンソン "Love in vain")

エンジェル改め「とんでもない食わせ物」、「堕天使」、「ズベ公」(以上感情的な一方的中傷)が去って呆然とする3人。

「でもさぁ、ジープって一番オフロードに向かん車やろ??」

などと、卑屈な負け惜しみを小声で話し合う俺達でした。

「OK、エンジェル、楽しかったぜ。
ただ、俺という鳥かごは君には狭すぎたのさ。」

と最後の妄想に浸ります。

そして2時30分。
まだマスターと共にカウンターに残っていた女の子が注文を取りに来ました。

「ラストオーダーですが、何かありますか??」

3年に一度くらい、こんな感じで電気に撃たれるように恋に落ちることがあります。
もっとも、この店では2ヶ月で2回目ですが。
まさに運命的な出会いというやつです。
何て美しい女性だ。

「シュガー、俺にはタンカレイのロックを。
そして君にはジン・バックを。
もちろんベースはボンベイサファイヤだ。
真夏のひまわりのような君には、ジンベースのロングカクテルがお似合いさ。」

そんな笑顔が俺のハートをノックします。
俺はオモムロにギターを手に取り、ロバートジョンソンの「カモンインマイキッチン」を・・・・(妄想)

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