Babysitter Blues
先日、宿敵Tのヨメから連絡がありました。
その内容というものが驚くことに、夕方からの3時間ほどガキを預かってほしい、とのことです。
なんでも、どうしても抜けれない仕事があり、かつTが出張でいないとのことです。
俺の家とTの家は距離にして2kmと近く、しかもチビTの保育園の帰路にウチがあるので都合が良いようです。
このTのガキ、仮にチビTとしましょう。
3歳半年くらいのオスで、あまり喋らないのですが、そのかわり落ち着きがなくチョロチョロするのです。
Tのヨメが夜勤なんかのときは子守りがてらTがウチに連れてきたりするので、そこそこ慣れてはいます。
そして、運命の日が来ました。
***
会社を17時に上がり、18時くらいに帰宅した旨を伝えると、保育園から直接チビTが連行されてきました。
Tヨメは速攻で仕事に行こうとするのですが、泣きもせずに見送りました。
そして開口一番「おしっこー」ときました。
ホワッツ?
さっきママが行く前に「おしっこはいいの?」って聞いたやないかい!
とオトナゲなく問い詰めると「今したくなった」とぬかします。
とりあえずトイレに連れて行き、ズボンとパンツを脱がせて「ほら、やれ!」と言ってみますが便器に届きません。
よくわからないので後ろからわきの下に手を入れてぶら下げてみますが、一向にやる気配がありません。
俺?俺がそのドリルみたいなチンコを掴んで方角を定めて発射すんの?
なんなら前立腺とかを押して強制的に尿意をモヨオサせるの?
と思ったら「座る」とのこと。
へえ、座るんだ。
俺が3歳のころってどうだったんだろ。
その辺で立ちションしてたような気がするけど、実はロクに記憶が無いからわかんないや。
普通に座ると便器の中にケツから落ちそうだから便座の前の方に座らせ、落ちていかないように体を支えてやります。
するとチビTのヤツ、うっとりした顔で排出をはじめました。
ところが、便座の前の方に座っていてドリルチンコなもんですから、弾道はあらぬ方向、要は外に向けて飛ぶわけです。
コラコラコラコラコラ、と上半身をこっち側に倒してなんとか便器内に着水させ、済ませることができました。
後から聞くと、便器を後ろ向きにまたぐ感じにすると良いそうです、ってこんなマメ知識いらねー。
***
トイレが終わるといきなりウロチョロします。
まずは冷蔵庫を一通り開け、引き出しを開け、俺の大事なレコードラックを開けます。
コラコラコラコラコラ、それで遊ぶんじゃねえ。
このバナナのレコードは、バナナを剥ぐと中にバナナの実の写真があるというアンディウォーホルがデザインしたベルベットアンダーグラウンドの名作なんだぞ、とか言っても聞きやしないのですかさず持ち上げてインディアンバックブリーカーです。
あ、間違えた、インディアンではなくてカナディアンでした(確信犯)。
そうするとチビTは大喜びで「アンパーンチ」とか言って俺を殴ってきます。
アンパンチ?なんじゃそりゃ。
アンパンッチというアダナのヤツなら中学の時いたぞ。
シンナーで時間がとってもゆっくり流れるようになっているヤツで、よく夕方くらいにフラフラと学校に来て聞き取りにくい発音で「ほまえらいまかあがっこうかえっれいいとやしらんぜ」みたいなこと言ってたなあ。
結局、バックブリーカー+回転を10回くらいやらされて、俺がすでにTKO寸前です。
***
ここは一休みするために食い物で釣るしかないでしょう。
「オヤツ食うか?」と聞いたら「いらない。ぐるぐるするー」と言うので、それを無視して俺は勝手に食い始めました。
とは言ってもガキが喜ぶような食い物は無いので、目の前で俺のツマミ用のイリコを貪ってみました。
すると興味を持ち始め、イリコに手を伸ばします。
一口食うと美味かったみたいで自分のとこに引き寄せてムシャムシャと食い散らかしました。
これで一息つけるかと思ったんですが、3歳のガキというのは思ったより食うのが早く、あっという間に完食してしまいました。
***
その間、携帯に電話が入り喋っていたのですが、チビTは食い終わったらどこかに行ってしまいました。
イヤな予感がしたので早めに電話を切り上げてチビTを探すと俺の釣具部屋(券音楽部屋)にいました。
そして、こともあろうか、リールを装着したまま置いてあった俺のナマズタックルで遊んでいるではないですか。
ルアーは付けっぱじゃなかったのでそういうキケンは無いんですが、このガキ、激しくワンピッチジャークしてけつかります。
リールをグルグル回しながらロッドをブンブン上下させ、部屋の蛍光灯をバシバシ叩いています。
コラー!コラコラコラー!と取り上げようとしてもスッポンのようにしがみついて放しません。
こういうときは気をそらすに限るので、イリコの袋をちらつかせますがスレてしまったみたいでヒットには至りません。
次の手段として超安物コンパクトロッドの先にラインを結びその先にフックの無いクサレルアーを付けて床の上を引いてみると興味を示します。
チビTの近くに落とし、チョイチョイっと動かし、手を伸ばすとすぐに回収。
3回目くらいでポーズを長めに取ると、ガバっとルアーを手に取りました。
抱いた!見事にサイトでキャッチです。
チビTは俺の大事なナマズタックルを放り投げ、この遊びに夢中になりました。
途中で交代して俺がルアーを追う係になったのですが、何せ3歳児、うまく俺の近くにルアーを置いたり動かしたりすることができません。
ものすごいスピードでルアーを動かすので俺は必死でそれを追うわけです。
つか、俺、トップウォータールアーを追うナブラでの青物みたい。
***
ひとしきり遊んでもうクタクタです。
これは寝せるに限ると思い、リビングでDVDを流すことにしました。
いつもチビTはウチに来るとファインディングニモを見せるとおとなしくなるので、今回もニモをかけます。
床に二人でゴロゴロしながら見ていたのですが、落ち着きの無いチビTは全く寝てくれません。
バシバシ叩いたり足にかみついたり上に乗ってきたり頭突きしてきたり。
たまらないっす。
目ぇ瞑って10数えろ、とか言っても聞きやしません。
コラやめろ、おい痛ぇよ、などとやっているうちに、寝てしまいました、俺が。
気が付いたら30分くらい経っていて、ちょうど一世一代のデートがあるのに目が覚めたら待ち合わせから3時間経っていて怒りのメールと着信が50件くらいあるのに気付いたように血の気が引いた状態で目が覚めました。
チビTどこ行った?
レコードとか釣具壊したりしてないか?
それよりも何よりもトイレに落ちたりとかしてないか?
何せ物音がしないので心配です。
が、すぐに発見できました。
リビングのテーブルの下に入ってスヤスヤと寝ているではないですか。
ガキを寝せるにはこっちが先に寝るのが有効ってことっすね。
小ざかしいガキでも寝顔はこっちをハッピーにさせてくれるもんですね。
***
そんなわけで長い長い3時間が終わりました。
ゲッソリするくらい疲れました。
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